健康サポート薬局について【公表の流れを知ろう】

2016年4月からスタートしている「健康サポート薬局」。

地域包括ケアシステムを背景に生まれた制度ですが、これから取り組まれようとされている方も多いと思います。

そこで今回は「健康サポート薬局」の定義と、公表までの流れについて見ていきましょう。

健康サポート薬局とは

医薬品医療機器法施行規則では“患者が継続して利用するために必要な機能及び個人の主体的な健康の保持増進への取組を積極的に支援する機能を有する薬局 ”とされており、 かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する機能を備えた薬局の事をいいます。

健康サポート薬局を表示しようとする薬局は、都道府県知事等に届出を行い、厚生労働大臣が定める一定の基準をクリアした薬局については、健康サポート薬局の表示が可能となります。

平成28年4月1日から始まったこの制度は、目標として2025年までに1万~1万5,000軒、日常生活圏域に最低一つ設置する事を掲げており、現在全国で1,567軒 (令和元年9月30日時点) の薬局が受理されています。

この数は今後更に増える事が予想されます。

健康サポート薬局一覧(https://www.mhlw.go.jp/content/000558948.pdf)

健康サポート薬局の基準について

健康サポート薬局は、かかりつけ薬局・薬剤師の基本的機能に加え、患者等のニーズに応じて強化すべき健康サポート機能を備えなければなりません。

その機能を詳しく見ていくと、以下のようになります。

1.かかりつけ薬局としての基本的機能

  • 服薬情報の一元的・継続的把握
    • かかりつけ薬剤師選択のための業務運営体制
    • 服薬情報の一元的・継続的把握の取組と薬剤服用歴への記載
    • 懇切丁寧な服薬指導及び副作用等のフォローアップ
    • お薬手帳の活用促進
    • かかりつけ薬剤師・薬局の普及
  • 24時間対応・在宅対応
    • 24時間対応
    • 在宅患者の薬学的管理及び指導の実績(在宅対応)
  • 医療機関等々の連携
    • 疑義照会及び処方の提案
    • 受診勧奨
    • 医師以外の多職種との連携

2.健康サポート機能

  • 地域における連携体制の構築
    • 受診勧奨
    • 医療機関その他の連携機関の紹介
    • 地域における連携体制の構築とリストの作成
    • 連携機関への紹介文書による情報提供
    • 関連団体等との連携及び協力
  • 常駐する薬剤師の資質(※1)
  • 個人情報に配慮した相談窓口の設置
  • 健康サポート薬局である旨等の表示
  • 要指導医薬品等の取扱い(※2)
    • 要指導医薬品、一般用医薬品、介護用品及び衛生材料等の取扱い
    • 専門的知識に基づく説明
  • 開店時間(平日営業日の連続開局、土曜日又は日曜日のいずれか4時間以上開局)
  • 健康サポートの取組
    • 健康増進に関する相談対応と記録の作成
    • 健康サポートに関する具体的な取組の実施
    • 健康サポートに関する取組の周知
    • 健康の保持増進に関するポスター掲示、パンフレット配布

上記を見ると「調剤業務特化型薬局」は今後、「患者を総合的にサポートする薬局」へと移り変わる事が予想されます。

地域住民の身近な健康づくりの相談相手として、地域包括ケアシステムを支える上で重要な役割を担っていく事は間違いないでしょう。

図で見る健康サポート薬局のあり方
(厚生労働省:ビジョン実現のための具体的な政策健康サポート薬局について)

常駐する薬剤師の資質について ※1

常駐する薬剤師の資質について、健康サポート薬局に関する研修を修了(研修修了証)した、一定の実務経験(5年以上)のある薬剤師の常駐が必要となります。

研修は「技能習得型研修」と「知識習得型研修」の合計30時間で構成されており、日本薬剤師会、NPhAなどの団体で実施されています。

技能習得型研修は講義と演習で実施され、演習はグループ討議形式で行います。

講義形式のみの知識習得型研修は、eラーニングでの実施も可能です。

技能習得型研修(講義及び演習 計8時間)
研修項目 時間
健康サポート薬局基本理念 1
薬局利用者の状態把握と対応 4
地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応 3
知識取得型(講義形式 eラーニングも可 計22時間)
地域住民の健康維持・増進 2
要指導医薬品等概説 8
健康食品・食品 2
禁煙支援 2
認知症対策 1
感染対策 2
衛生用品、介護用品等 1
薬物乱用防止 1
公衆衛生 1
地域包括ケアシステムにおける先進的な取組事例 1
コミュニケーション力の向上 1

研修で身に付けられるスキルとして

・患者さんの話を聞く傾聴スキル
・病態を推測する臨床推論
・OTCの知識
・受診勧奨時の医療機関とのコミュニケーションスキル
・健康相談に対し質の高いアドバイスができる

などが挙げられます。

「健康サポート薬局研修」を受講する事で、患者さんだけでなく、一般の来局者が抱える 健康面での悩みに対して、より質の高いアドバイスができるようになります。

医療に関わる専門家としての観点で、服薬指導に留まらず、要望に合わせた医療材料や健康食品、OTC医薬品を提案し、QOLの向上につなげることができるでしょう。

有効期間は発効から6年間で、更新の2年前から再履修が可能、更新申請を行います (6年間延長、更新の条件は“地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応”の研修の受講)

要指導医薬品等の取扱いについて ※2

要指導医薬品等の扱いについて、健康サポート薬局の届出を提出するにあたり、「要指導医薬品等の備蓄品目を薬効群毎に分類したリスト」と「衛生材料及び介護用品用の備蓄品目リスト」の提出が必要となります。

要指導医薬品等は「基本的な薬効群を原則としつつ、地域の実情に応じて供給」することとし、催眠鎮静薬、抗ヒスタミン薬主薬製剤、止瀉薬、みずむし・たむし用薬、毛髪用薬、禁煙補助剤など48品目が挙がっていますが、各品目につき1種類の取り扱いだと「薬局利用者自らが適切に選べる体制」とならないため、売れ筋の品目については2~3種類取り揃えることが求められそうです。

「健康サポート薬局」公表の流れについて

健康サポート薬局である旨を表示しようとする薬局の公表の流れについて、次のようになっています。

①届出:所管の保健所へ書類を送付

1.変更届
2.届出書添付書類(チェックリスト)
3.上記に規定されている項目に関する書類
※48品目リストや届け出書類はこちら(厚生省薬生発0212第5号)で確認可能

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②受理後、薬局機能情報変更報告を行う

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③都道府県知事(薬局機能情報提供制度運営主体)と保健所等(開設許可権者)で情報交換による確認

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④「薬局機能情報システム」で「健康サポート薬局」として公表

健康サポート薬局公表の流れ
(厚生労働省: ビジョン実現のための具体的な政策健康サポート薬局について)

健康サポート薬局となったら、単に相談に応需するだけでなく、積極的に健康サポートの取組みを実施するように求められています。

具体的には以下のような取組みで、月1回程度の実施が望まれています。

チェックボックス 薬剤師による薬の相談会の開催や禁煙相談の実施

チェックボックス 医師や保健師と連携した糖尿病予防教室の開催

チェックボックス 薬剤師による健診の受診勧奨や認知症早期発見につなげる取組み

チェックボックス 管理栄養士と連携した栄養相談会の開催

これらの取組みについては、過去1年間の実績があることが確認できるように求められており、その資料を薬局に保管しておかなければなりません。

まとめ

地域住民の健康意識を高め、健康寿命の延伸に貢献していく為には、健康サポート薬局には、安心して立ち寄りやすい身近な存在として、地域包括ケアシステムの中で多職種と連携し、地域住民の相談役の一つとしての役割を果たすことが求められています。

薬剤師・薬局は、患者に医療を提供する地域のチーム医療の一員としての自覚を持ち、 薬学的管理・指導の質の向上を目指して継続的な自己研鑽を行い、個々の患者に応じた業務に努めることが必要となってくるでしょう。