かかりつけ薬剤師が24時間対応・在宅対応で行う業務とは?

かかりつけ薬剤師制度の中で、現場の薬剤師が最も気になるのが「24時間対応・在宅対応」ではないでしょうか。

「かかりつけ薬剤師になると24時間対応しないといけないのか」と不安に思っている方も多いでしょう。

そこで今回は、かかりつけ薬剤師の機能のひとつである「24時間対応・在宅対応」について詳しくみていきます。

かかりつけ薬剤師の24時間対応・在宅対応とは

かかりつけ薬剤師が24時間対応・在宅対応を行うことについて、厚生労働省は、下記のように記しています。

地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬剤師は、薬局の開局時間内に限らず薬物療法に関する相談を患者から受けたり、場合によっては調剤や在宅対応を求められることが想定される。薬局としても、かかりつけ薬剤師がこうした対応を行えるよう、地域包括ケアの一環として、夜間・休日を含め、電話相談や調剤等の必要な対応(24時間対応)を行う体制を確保することが求められる。

在宅患者への対応としては、入院から外来、施設から在宅への流れの中、認知症患者や医療密度の高い患者にとっては、在宅での薬学的管理が受けられることが今後ますます必要となることから、かかりつけ薬剤師・薬局においては、服薬アドヒアランスの向上や残薬管理等の業務を始めとして、在宅対応に積極的に関与していくことが必要となる。

参照:厚生労働省「患者のための薬局ビジョン」より

つまり、24時間対応については、夜間や休日も薬物療法に関する相談を電話で受け付けて、緊急時には調剤を行う、在宅対応については、入院・施設から外来・在宅へシフトしてきている流れを受けて、在宅での残薬管理などを行う、という事である。

しかしなぜ、24時間対応する必要があるのでしょうか?

そこには「超高齢化社会」と「地域包括ケアシステム」の存在が、大きく関わっています。

超高齢化社会と地域包括ケアシステム

超高齢社会

日本の高齢者人口は、団塊世代が65歳以上となった2015年に3,387万人に達し、総人口の27.3%を占めました。

さらに2025年には75歳以上の後期高齢者が4人に1人の割合になると予想されます。

このような超高齢社会を背景に、2000年から介護保険制度が始まり、家族の介護負担は軽減されましたが、高齢化と少子化が進み、介護保険や医療保険などの公費だけで高齢社会を支えるのが難しくなってきました。

そのため厚生労働省は、団塊世代が75歳以上となる2025年を目途に、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域内でサポートし合う体制「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。

地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアシステムとは、各地域に住んでいる高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい生活を人生の最後まで持続できるように、医療・介護・介護予防・住まい・生活支援などのサービスを、日常生活圏域(自宅から30分以内)で一体的に提供することを目指す体制のことを言います。

地域包括ケアシステムイメージ
図:ゆたか倶楽部より

この体制の実現のためには、自助(介護予防への取り組みや健康寿命を伸ばすなどの自分自身のケア)、互助(家族や親戚、地域での暮らしを支え合い)、共助(介護保険・医療保険サービスなどの利用)、公助(生活困難者への対策として生活保護支給などを行う行政サービス)という考えに基づき、地域住民・介護事業者・医療機関・町内会・自治体・ボランティアなどが一体となって地域全体で取り組むことが求められています。

医療機関のひとつとして薬局にも地域化が求められ、「かかりつけ薬局」としての機能を持つことが掲げられています。

その役割は、大きく分けて3つあります。

① 地域住民への適切な医療を提供する役割(在宅、外来医療における適切な薬物療法)

② 地域住民の健康の維持・増進を推進する役割(セルフメディケーションの推進)

③ ファーストアクセスとしての種々の相談を受け付ける役割(医療・介護の相談窓口)

これからの役割を遂行するのが薬剤師であり、薬物療法の提供や健康維持・増進、ファーストアクセスの窓口として「かかりつけ薬剤師」が存在するのです。

薬剤師は医療・介護・地域、3つのレベルに分かれるチャネルを持っており、特に地域住民に近い『共助』 レベルは地域包括ケアを構成する上で非常に重要な役割を担っています。

そしてその『共助』レベルの中に、今回テーマとなっている「24時間対応」 や「在宅対応」が求められており、地域医療を推進していくうえで欠かすことのできないサービスと言えます。

薬剤師の負担を軽減するために

夜間や休日でも患者対応が求められることは、肉体的にも精神的にも負担を感じる薬剤師が多く、一元的な服薬管理や在宅医療も含めて、かかりつけ薬剤師としての機能を十分に発揮するためには、薬局側のサポートが不可欠と言えます。

電子薬歴や電子お薬手帳の導入、在宅訪問のスケジュール管理や移動手段など、薬局の体制整備を行うことで、かかりつけ薬剤師の負担の軽減に繋がると言えるでしょう。