Vol1.かかりつけ薬剤師になるには?

薬剤師として働くみなさんの中には、
「制度については知っているけれど、具体的に仕事がイメージできない」
「どうすればなれるのか、今更聞けない」
「資格を得ておいた方がいい気はするけれど、将来的に本当に必要とされる肩書なの?」といった思いや迷いがまだまだあるのではないでしょうか。

ここでは、かかりつけ薬剤師になるための条件やメリットを解説するとともに、社会的にどのような役割を果たしていくのかについて考えてみます。

かかりつけ薬剤師になるために必要な5つの条件

チェックボックス3年以上の薬局勤務経験がある
チェックボックス 同一薬局に週32時間以上勤務している
チェックボックス当該薬局に12カ月以上在籍している
チェックボックス医療にかかわる地域活動の取り組みに参画している
チェックボックス研修認定薬剤師(認定薬剤師)を取得している

チェック 3年以上の薬局勤務経験がある

かかりつけ薬剤師の資格を得るのに必要な勤務経験は「保険調剤を取り扱う薬局での実務」と指定されています。

病院勤務の場合は勤務経験に含めていいと認められている期間は1年が上限。たとえ病院での勤務経験が2年以上あったとしても、それだけではかかりつけ薬剤師の要件は満たすことができませんので、病院勤務1年+薬局勤務2年の経験年数が必要となります。

チェック 同一薬局に週32時間以上勤務している

1日8時間勤務であれば週4日以上、時短勤務であれば1日6.5時間勤務で週5日以上勤務していないとこの要件は満たせません。

しかし、2018年の改定において、週に32時間以上勤務している薬剤師がほかに在籍している薬局では、育児休暇や介護休暇で時短勤務をしている場合、週24時間以上かつ週4日以上勤務であれば要件として認められるようになりました。

育児・介護と両立して働く方は特例的に要件を緩和するということですが、あくまで「ほかに週32時間以上勤務の薬剤師がいる場合」ですので、時短勤務のパートの方のみで業務を行なっている薬局は、かかりつけ薬剤師に関する届出が認められません。

また、「週4日以上1日6時間勤務」でこの要件を満たす計算になりますので、パート勤務の方でもまだお子さんが小さい方には少しハードルが高いといえるでしょう。

チェック 当該薬局に12カ月以上在籍している

上記要件の「週32時間以上勤務している」薬局「12カ月以上勤務している」ことも要件となっているので、フルタイムで働いていたとしても転職などで今の薬局で働き始めて1年未満という場合はかかりつけ薬剤師要件として認められません。

また、12カ月以上同じ薬局に雇用されていたとしても何らかの事情で一度退職して再雇用されているという場合は直近の勤務が要件として適用されます。

なので通算して12カ月以上勤務していたとしても、再雇用されてから12カ月勤務していることが必要です

勤務時間・期間に関しては現在勤務している薬局での働き方が適用されますので、離職中の場合はかかりつけ薬剤師を目指すことはできません。

一度退職し、資格を得てから復職・転職することは不可能となります。

また、産休・育休の期間も経験・勤務時間・勤務期間に含みません。

チェック 医療にかかわる地域活動の取り組みに参画している

「医療に関わる地域活動への参加」をすることも、かかりつけ薬剤師になるための条件として挙げられます。具体的には、厚生労働省が次のような見解を公表しています。

かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料に係る地域活動の事例

1.学校や教育委員会からの依頼に基づき、児童・学生の受け入れを行った場合

※薬剤師会の依頼により、薬学生の研修先となり、学生を受け入れた場合、又は医療事務専門学校生の研修先となり、学生を受け入れた場合は、該当しない
2.行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力のもとで実施している休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣
3.市立休日急患センターに合わせて開局した保険薬局(薬剤師会等の協力がないもの)で、地域活動を目的に開局していることが確認できる場合

※ただし、届出に係る薬剤師の調剤実績がある場合に限る
4.門前の医療機関が医師会の協力のもとで実施している休日当番医の日に、門前薬局がそれに合わせて開局する場合
5.救急指定病院の周りの複数薬局が日曜、祝祭日に輪番制で開局した場合で、地域活動を目的に開局していることが確認できる場合

※ただし、届出に係る薬剤師の調剤実績がある場合に限る
6.行政機関や学校等の依頼に基づく、薬と健康の週間、薬物乱用防止活動、注射針の回収

※ただし、回収等の実績がある場合に限る。薬局内でのポスター掲示や啓発資材の設置のみでは該当しない
7.行政機関主催の禁煙教育実施事業や水銀添加廃製品回収事業(環境省モデル事業)に参加

※ただし、回収等の実績がある場合に限る
8.地域の行政機関から委嘱を受けて業務(学校薬剤師、市町村国民健康保険運営協議会、市町村介護保険運営協議会等)を行っている場合
9.自治体・薬剤師会が協力する「地域包括支援センター」が主催する住民への医療相談会等への参加(行政機関、薬剤師会から直接の依頼等に基づかないもの)

※ただし、単に聴講のみの参加の場合は、該当しない
10.市・薬剤師会が協力する「認知症対応薬局」(新オレンジプランに基づくもの)が行う、薬局店頭・近隣公民館における小規模の説明会等(行政機関等から直接の依頼等に基づかないもの)を実施し、届出に係る薬剤師が相談者又は説明者として関与した場合

※ただし、広く住民に対して定期的に継続して行われていなければ、該当しない
11.市・薬剤師会が協力する団体が主催する住民への医療相談会等(行政機関、薬剤師会から直接の依頼等に基づかないもの)で、届出に係る薬剤師が相談者又は説明者として参加した場合

※ただし、広く住民に対して定期的に継続して行われていなければ、該当しない
12.認知症サポーター養成講座の主催者として参加した場合

※認知症サポーター養成講座の受講したのみでは、該当しない
13.地域薬剤会主催の研修に講師等で主催者として参加した場合
14.町内会から委嘱・依頼を受けて行った住民への医療相談会、説明会(主催 町内会)において、届出に係る薬剤師が相談者又は説明者等で関与した場合

※ただし、営業活動を含む場合は、該当しない
15.国立大学が主催する住民への医療相談会、説明会等で、届出に係る薬剤師が相談者又は説明者として参加した場合
16.地域の行政機関や医療関係団体(都道府県の薬剤師会、医師会等)が主催する産業祭などで行うお薬相談ブースへ参画(自治体主催の地域住民が対象)し、届出に係る薬剤師が相談者又は説明者等で関与した場合
17.薬剤師会が行う事業(実施期間は限定)で、薬局の店舗において血圧測定を行い、生活習慣病の健康相談等を実施し、届出に係る薬剤師が相談者又は説明者として関与した場合

※ただし、事業の周知のため薬局内にポスターを掲示しているのみでは、該当しない
18.地域薬剤師会が行う事業で、店頭において血糖測定や血圧測定を行い、生活習慣病の健康相談、受診勧奨を行うもの実施した場合

※ただし、事業の周知のため薬局内にポスターを掲示しているのみでは、該当しない
19.「薬と健康の週間」や「禁煙週間」、「薬物乱用防止活動」に併せて行う、各保険薬局(又は薬局のグループ)が主催する、薬局店舗での住民向けの継続的に実施する説明会(参加住民が1店舗あたり10名程度のもの)を実施した場合

※ただし、届出に係る薬剤師が相談者又は説明者として関与した場合に限る。「薬と健康の週間」等における薬剤師会等より配布されたチラシを近隣住宅へ配布したのみでは、該当しない。
20.保険医療機関の医療法人(病院又は診療所)が単独で主催する地域住民への説明会に、保険薬局の保険薬剤師が講師として参画した場合

※ただし、広く住民に対して定期的に継続して行われていなければ、該当しない
21.地域ケア会議(薬剤師が市から依頼を受けて「地域ケア会議」の構成員となり、民生委員及び児童委員協議会、地域包括支援センター、保健センター、ケアプランセンターらの職員で構成された会議)など地域で多職種が連携し、定期的に継続して行われている医療・介護に関する会議への主体的・継続的参加していることが確認できる場合

※ただし、単発の会議の聴講のみの場合は該当しない
小・中学生を対象した体験型経済協力プログラム(市役所や銀行、新聞社、薬局等の職場を再現し、生徒等がお金の流通や仕事を体験的に学んでいくもの。いろいろな業種を消費者・従業員の立場で体験するイベント)への協力は、該当しない
企業が主催する講演会、市民公開講座、薬剤師会の研修会、学会への出席については、聴講が主となるため該当しない

主に行政や薬剤師会などが地域住民に向けて主催する活動への参加となります。

メーカー主催の勉強会などは、地域活動として認められません。

チェック 研修認定薬剤師(認定薬剤師)を取得している

かかりつけ薬剤師になるための条件として、「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師の認定の取得」も必要となります。

研修認定薬剤師は、日本薬剤師研修センターをはじめとする認定団体が「自己研鑽により資質向上努力を継続している」と認めた薬剤師に与える認定になります。

大別すると、「生涯研修認定制度」「特定領域認定制度」「専門薬剤師認定制度」があり、薬剤師としての職能の向上を図るものから、特定の分野に特化して知識や技術を習得するものまでさまざまです。

かかりつけ薬剤師の場合は、特に認定の種類を限定していませんが、自身の勤める薬局や患者の様子から、必要と思われるものを取得するのが望ましいでしょう。

認定薬剤師の認定を得るには、各団体の定める期間内に所定の研修などを受講して決められた単位を取得し、認定試験を受けなければなりません。

認定によっては、受験資格に実務経験や事例の提出が必須のものもあり、取得までに数年を要するものも少なくありません。かかりつけ薬剤師を目指すなら、早めに受験計画を立てることをおすすめします。

Vol2.研修認定薬剤師の取得方法 に続く・・・