薬剤師サポートへのAI活用はじまる

調剤薬局大手のクラフト株式会社は、外資系企業の日本IBMと協業し、薬剤師の業務効率化および最適化をサポートする「薬剤師支援AIソリューション」を構築。

2020年1月より、全国約600店舗での利用を始めると発表した。

薬剤師支援AIソリューションの中身とは

薬剤師は、処方箋の内容についてその適切性を評価し、必要に応じて処方医に対して疑義照会を行ったり、薬の正しい使用法を患者に説明する服薬指導を行いますが、個人のキャリアや資質に依存していて、新人の場合は先輩の仕事ぶりを見ながら現場で覚えていく、というのが現状です。またベテランであっても、科目が変わると困難に直面する事も少なくありません。

そもそも現場に求められる知識は薬学教育だけで賄えるものではありません。

健康保険法や薬機法などの改正によって頻繁に算定基準やガイドラインが更新され、新しい薬の知識なども更新していかなくてはなりません。

キャリアや知識にブランクがあった場合の復帰への負担も大きく、M&Aでキャリアや文化が異なる人と業務を進めていく環境で、全薬剤師が同一の、高いレベルで質を保つ事は、難しいと言えます。

今回クラフト株式会社と日本IBMが組んで開発した「薬剤師支援AIソリューション 」 は、AIを活用することで、全薬剤師が高いレベルでの質を保つことを可能にした、画期的なソリューションです。

個人のキャリアや資質に大きく依存していた薬や服薬指導の知見を統合して全店舗で共有を可能にし、キャリアや店舗などに影響する事なく、全薬剤師がどこでも同じように自信を持って適切なアドバイスができるようになる、というものです。

抜粋:“調剤業務”から“対人業務”へ——AIで実現するさくら薬局のデジタル変革

導入メリット その1

患者の背景は一人ひとり異なるため、同じ薬でも人によって服薬指導の内容が変わります。

薬剤師は、それぞれの患者に対して、過去の処方履歴、今回処方される薬、これまで患者からヒアリングした内容をベースに服薬指導を行います。

情報の中からどこをポイントとして説明すべきか、注意すべきことは何かを判断する事に、薬剤師個人のキャリアや資質に依存している部分がほとんどでしたが、AIソリューションを導入する事で、日々蓄積される全店の調剤データ、これまでの服薬指導に関するデータ、患者個々人のデータなど膨大なデータの中から、気をつけるべきポイントが、当該薬剤師のキャリアに応じてリアルタイムで表示されるようになります。

全店の調剤データなどから、平均的な調剤状況やユースケースをいつでも引き出すことができ、それを見て納得したものを、自分の服薬指導に活かすことができるようになるのです。

AIの力を借りる事で対人業務の効率化が進み、患者満足度の上昇や収益性の向上にも繋がる、画期的なソリューションと言えるでしょう。

導入メリット その2

薬剤師は処方箋の内容について、その適切性を評価し、必要に応じて処方医に対して疑義照会を行いますが、疑義照会や処方医への提案など、完璧にできる薬剤師は多くありません。

今回のAIソリューションを活用すると、膨大なデータの中から意見の裏付けとなる事例や結果を抽出することができるようになり、医師に進言しやすくなります。

自分だけの知識ではなく、多くのデータや薬剤師の知識を統合した結果を伝えることができれば、強力なサポートツールとなるでしょう。

まとめ

調剤薬局を取り巻く環境が大きく変化する中、薬剤師個々人に頼る従来の属人的な仕組みではその発展は望めません。

デジタル時代に対応し、AIをはじめとした技術変革を取り入れることで、技術・環境面から薬剤師全体のレベルアップを図っていく。

それは必ず、調剤薬局としての価値向上に繋がり、更に働く薬剤師の満足度の向上にも繋がっていくでしょう。

・抜粋記事:https://www.ibm.com/think/jp-ja/business/sakura-ai/

・プレスリリース:http://www.kraft-net.co.jp/wp-content/uploads/2019/12/kraft_PressRelease_20191204.pdf