Vol1.薬剤師の将来性~需要と供給について~

薬局・医療施設で働く薬剤師数の年次推移をみると、薬剤師の数は毎年増加傾向にあり、 2019年に実施された「薬剤師国家試験」では、3年ぶりに合格者数が1万人を超えました。

高齢者の増加をはじめとした社会環境の変化により、薬剤師の役割・活躍の場所も広がりを見せています。

今回は、医療業界の中でも、特に「薬剤師さんたちを取り巻く環境の変化」という部分にフォーカスし、 その未来について考えるとともに、薬剤師さんたちが今後進むべき方向性について検討していきたいと思います。

薬剤師の需要と供給について

薬剤師の需給動向を調査・研究している厚生労働省の研究班は、2043年度までのシミュレーションを行い、 「薬剤師の総数としては、今後数年間は需要と供給が均衡している状況が続くが、長期的に見ると、供給が需要を上回ることが見込まれる」との報告書をまとめました。

薬剤師需給予測

グラフを見るとすでに需要が供給を上回っており、薬剤師は飽和状態になっています。

しかし、現在のところ、薬剤師が過剰になっているとの実感はありません。

確かに都市部では薬剤師の充足感はありますが、 地方などではまだまだ薬剤師不足で悩んでいる調剤薬局やドラッグストアが沢山あります。

なぜ薬剤師は過剰にならないのか?

女性が多いため薬剤師免許を使わない人が多数いる

薬剤師が充足しない一番の理由は、女性の割合が多い職種だからです。薬剤師は、約6割以上が女性なので、出産や育児で家庭に入る人が増えます。

そのため、薬剤師 全薬剤師の60%以上が女性薬剤師で占められているため、平均的に入社4年から5年頃から結婚・出産による退職などが多く見られます。

特に驚くべき点が、薬剤師として復職するひとがそれほど多くなく、薬剤師免許を使用しない方が意外にも非常に多いのです。

また、復職する人でも、次は別の仕事がしてみたいということで薬剤師以外の職を選ぶ人も多いのです。

このような理由で、使用されない薬剤師免許が増え、過剰供給が避けられています。

調剤以外の仕事をしている薬剤師が多い

薬剤師は、調剤薬局や病院、ドラッグストアでの調剤業務以外にも様々な職種があります。

例えば、製薬会社、CRO、医薬品卸会社やメディカルライターなどです。
下記の通り、薬剤師免許保有者の約1/4が調剤業務以外の仕事をしています。

薬剤師の施設・業務種別の割合は、
薬局 57.1%
病院・診療所 19.3%
大学 1.7%
企業 13.9%
衛生行政機関 2.3%
(厚生労働省 平成28年 薬剤師調査の概況)

つまり、国家試験の合格者が調剤に従事している薬剤師の人数にならない、ということが、薬剤師が過剰になっていない一つの原因です。

薬剤師は地域による偏りが大きい

2016年に厚生労働省が行った調査によれば、人口10万人に対する薬剤師数は徳島県が一番高く、220.9人となっています。その後は東京都、兵庫県、広島県と続き、上位のほとんどが政令指定都市のある都道府県です。

一方で沖縄134.7人、青森143.5人、福井145.1人と、地方はまだまだ不足状態にあるのが現状です。地方の中小薬局が人手不足との話もあり、まだまだ不足しているという事です。

上記のようなことから、需要<供給の状態が続いていても、薬剤師の方の働き場所が無くなるようなことはないと考えられます。

薬剤師を必要とする場所の変化について

これまでは“薬剤師といえば薬局・薬店で働くもの”というイメージが一般的でしたが、近年、高齢化の進行により高齢者の在宅ケアの必要性が増しており“薬局で待つビジネススタイルから、在宅医療へ”という移行が始まりました。

実際、在宅服薬指導を行う薬局も出てきており、この流れはどんどん加速していくことでしょう。

また、薬剤師をコメディカルスタッフとして医療チームに加える病院も増えてきました。NST(栄養サポートチーム)などで、すでに多くの薬剤師が医療チームの一員として働いています。

今後、薬剤師の働く場所が、在宅医療の場、高度専門医療の場へと広がっていくことは間違いありません。

Vol2. へ続く・・・