年収を上げたい薬剤師がいま見るべき4つの事

薬剤師としてのキャリアやワークライフバランスを考えるうえで、「年収」は切っても切れないテーマです。

厚生労働省の「平成29年賃金構成基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は543.8万円。これは全職種の平均年収422.2万円に対して120万円以上も高い金額です。

この薬剤師の平均年収を見て、「自分の年収をもっと上げたい」と感じた方もいるのではないでしょうか。

年収を上げるためには、薬剤師の年収について多角度から見ることが大切です。

なぜならば、年収は「年齢」「業種」といった単一の要素で決まるものではなく、複数の要素の掛け算で決まるからです。

例えば、同じ「35歳・男性薬剤師」の薬剤師でも、「個人薬局勤務」と「従業員1,000人以上のチェーンドラッグスト勤務」では年収が異なりますし、「薬剤師が足りない過疎地域の薬局勤務」と「薬剤師が充足している都心の薬局勤務」でも異なります。

ここでは、薬剤師の「年齢・性別」をテーマに、さまざまな観点から薬剤師の年収について調査した記事をご紹介します。

ぜひキャリアプランを考える際の参考にしてください。

「年齢×性別」「企業規模」にみる薬剤師の年収

はじめに、「年齢×性別」で薬剤師の年収を比較してみましょう。

図表1「年齢・性別で見る薬剤師の平均年収」

年齢と性別を組み合わせた薬剤師の年収比較が、図表1(「年齢・性別で見る薬剤師の平均年収」)です。65~69歳を除いて、すべての年齢層で女性薬剤師よりも男性薬剤師の方が高年収であることが分かります。

男女それぞれについて年齢による平均年収の違いを見てみましょう。

男性薬剤師の年収ピークは45~49歳の715万円。50代以降に年収が下降しているのは、ワークライフバランスの変化によって残業時間を減らす薬剤師が多いことが一つの要因と考えられます。

一方、女性薬剤師の年収ピークは55~59歳の586万円。女性は、30代から50代にかけて結婚・出産といったライフステージの変化が働き方に大きく影響を及ぼします。

育休制度を利用したり、子育てが落ち着くまで時短勤務や離職を選択したりと、仕事をセーブして働く薬剤師が増えるため、男性に比べると年収の伸びが少ないようです。

図表2「企業規模別 薬剤師平均年収」

次に、企業規模(従業員数)別に薬剤師の平均年収を見てみましょう。

平均年収がもっとも高いのは、男女ともに従業員数10~99人の企業で、男性薬剤師が606.0万円、女性薬剤師が527.8万円。反対に、平均年収がもっとも低いのは、男女ともに従業員数1,000人以上の企業で、男性薬剤師が479.9万円、女性薬剤師が438.5万円です。

企業規模によって平均年収に差が生まれる背景には、企業に在籍する新卒薬剤師の比率の違いが挙げられます。

従業員数1,000人以上の大手チェーン企業では、従業員数の少ない中小規模の企業に比べて新卒薬剤師の在籍比率が高いため、平均年収が低くなります。その根拠に図表2を見ると、企業規模が大きくなるほど薬剤師の平均年齢が低下していることが分かります。

業種別みる薬剤師の年収

薬剤師の年収は業種によっても異なります。ここでは、「調剤薬局」「ドラッグストア(調剤併設を含む)」「病院」「企業(製薬・医薬品卸・治験など)」の4業種について、「都市部エリア(5大都市を有する都道府県。北海道・東京・大阪・愛知・福岡)」と、「その他エリア」に分けて比較します。

業種都市部エリアその他エリア
調剤薬局年収507.1万円年収522.1万円
ドラッグストア(調剤併設を含む)年収542.2万円年収556.3万円
病院年収467.2万円年収490.8万円
企業(製薬・医薬品卸・治験など)年収504.8万円年収532.0万円

図表3「業種・エリア別の薬剤師の年収」

業種別に見ると、平均年収が高いのは「ドラッグストア」に勤める薬剤師、低いのは「病院」に勤める薬剤師です。この業種ごとの年収差は、業務内容の他、薬剤師の年齢構成や事業の収益構造などの違いによって生まれます。

例えば、平均年収の高い「ドラッグストア」の業務内容は、処方せん調剤に加え、OTC医薬品の販売や日用雑貨の品出し、レジ打ちなど多岐にわたります。営業時間が長く、残業が発生しやすいのも特徴です。また、ドラッグストア業界は、新規出店のために薬剤師の人材確保が重要なため、高年収でも薬剤師を採用する傾向にあります。

平均年収が低い「病院」の業務内容は、院内外の調剤や病棟業務、DI業務…と幅広く、急性期病院であれば夜勤や当直も発生します。しかし、病院薬剤師の平均年収を押し下げている要因の一つは新卒薬剤師の比率です。

業界で働く薬剤師のうち、新卒薬剤師が占める割合は、調剤薬局2.0%に対して病院は3.2%。若い薬剤師の多さが平均年収に反映していると考えられます。(薬学教育協議会「平成30年度就職同行調査結果報告書」、厚生労働省「平成28年平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況/厚生労働省」のデータをもとに算出)

そして、上記の表で目立つのが「都市部エリア」と「その他エリア」での薬剤師の年収差です。

エリアによってなぜ年収差が生まれるのでしょうか。

それは、薬剤師の給与が純粋に、人材マーケットの需給関係で決まる傾向にあるからです。薬剤師が不足している地域では薬剤師の「売り手市場」になるため薬剤師の年収は上がりやすく、薬剤師が充足している地域ではその反対の状況になります。

都道府県別にみる薬剤師の年収

都道府県によっても薬剤師の年収には差があります。

順位都道府県平均年収
(万円)
年齢
(歳)
月間労働時間
(時間)
人口10万人当たり
薬剤師数(人)
1奈良777.338.3181163.8
2静岡684.647.8195169
3青森670.641.1184143.5
45石川477.739.7168178.5
46宮城471.237.1176182.9
47三重437.536.3178158.7

図表4「都道府県別の薬剤師年収ランキング」

年収ランキングトップ3の奈良県、静岡県、青森県はいずれも人口10万人当たり薬剤師数が全国平均の181.3人を下回っている「薬剤師重要の高い地域」。

一方、年収ランキング下位の徳島県や宮城県は人口10万人当たり薬剤師数が全国平均を上回っている「薬剤師重要の低い地域」です。

また、人口割合だけでなく、薬局数や訪問薬局数、病院数なども需給バランスに影響を与えています。

「給料・年収」からみる薬剤師の年収

これまで「性別×年齢」「企業規模」「都道府県」といったデータから薬剤師の年収を見てきましたが、次は企業別に薬剤師の年収をチェックしましょう。

薬剤師求人には、「年収」の項目はありますが、入社後の昇給制度などについては明記されていないケースが多々あります。

そこで活用していただきたいのが「薬剤師のクチコミ」です。

職場ナビでは、全国の薬局、ドラッグストア、病院に勤務する薬剤師の職場に関するクチコミを紹介しています。

その中から「給料・年収」に関するクチコミで、薬剤師から高い評価を得ている薬局、ドラッグストア5社をピックアップしました。

ランキング企業名「給与が良い」
に当てはまる

1
ウエルシア82.6%

2
くすりの福太郎80.0%

3
カワチ薬品62.5%
4ユタカファーマシー60.0%
4トモズ60.0%

図表5「クチコミランキングトップ5社」

ランキングトップ5に入った企業「ウエルシア」「くすりの福太郎」「カワチ薬品」「ユタカファーマシー」「トモズ」が、すべてドラッグストアという結果になりました。

ドラッグストアに勤める薬剤師の平均年収がもっとも高いことから、年収の高さは「給料・年収」の満足度に大きく貢献しているようです。

薬剤師の年収を多角的に把握し、年収アップに役立てよう

ここまで、「年齢×性別」「企業規模」「業種」など、さまざまな角度から薬剤師年収をご覧いただきました。

薬剤師の年収の傾向としては、

・薬剤師の需要が高い地域は年収が高い
・都市部よりも郊外の事業所の方が年収は高い
・病院よりもドラッグストアの方が年収は高い

などが上げられます。

キャリアプランを設計する際、どんな環境でどんな働き方をすると、どれくらいの年収を得られるのか、と大体のイメージを持っておくことはとても重要です。記事を参考に、薬剤師業界の傾向からご自身の適正年収や働き方を検討してみましょう。

また、「自分が年収アップするには、どんな職場に転職するといいのかな」「長く働きたいから薬剤師から年収の評判がいい企業に転職したい」など、職場選びに関するご相談は、是非私たちにご相談ください

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