【Vol.1】企業薬剤師ってどんな仕事があるの?

企業薬剤師イメージ

「薬局や病院などで薬剤師として働いているが、製薬会社で働いてみたい」
「調剤業務以外の仕事に就いてみたい」

転職先として、医療機関(薬局や病院)以外を希望する方も少なくありません。

企業勤務の薬剤師は給与水準が高く、福利厚生も充実していて人気の高い職種です。

実際にどのような職場があるのか、見ていきましょう。

営業系

MR(メディカル・レプリゼンタティブ)

MRの仕事は医療機関を訪問することにより、自社の医療用医薬品を中心とした医薬情報(医薬品およびその関連情報)を医療関係者(医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)に提供し、 医薬品の適正な使用と普及を図ること、使用された医薬品の有効性情報(効き目や効果的な使い方)や安全性情報(副作用など)を医療の現場から収集して報告すること、 そして医療現場から得られた情報を正しい形で医療関係者にフィードバック(伝達)することなどを主な業務としています。

誤解しやすいポイントは、「薬を売る営業」ではないということ。

「薬の品質・有効性・安全性に関する情報を医療従事者に提供する」ことで、患者さんの治療に最適な処方薬として自社の薬を選んでもらうことがミッション。

選んでもらうことで、結果的に売上に繋げていく仕事です。

MRが扱う薬は「医療用医薬品」。医師の処方箋を必要とし、薬剤師によって処方される薬です。ドラッグストアやコンビニで簡単に購入できる風邪薬や胃腸薬などは「一般用医薬品」と呼ばれるもの。

大手の製薬会社はどちらも商品として扱っていますが、この2つはまったくの別物です。 TVCMや広告で知られている薬は、全て「一般用医薬品」。MRは扱いませんので、ご注意を。

また、日本の「医療用医薬品」市場は、「一般用医薬品」市場の約10倍の大きさ。 MRの人数も多く、日本国内で約6万人が従事しています。意外かもしれませんが、TVCMや広告を多く出稿している「一般用医薬品」は、製薬会社の売上げ構成内ではほんの一部でしかないのです。

■MR認定試験を取得しよう

MRに転職して最初の難関は「MR認定試験」。毎年12月に東京・大阪で開催されるこの試験に合格することで、MRとして最低限の「医薬品」「病気・治療」に関する知識があると証明されます(毎年の合格率は約80%)

ご自身の適性や志向がMRに向いていると思ったら、是非チャレンジしてみてください。

MS(マーケティング・スペシャリスト)

医薬品卸売業の営業担当者。ドクター、MR、薬剤師、医薬品メーカーを結ぶ重要なポジション。

取引先から仕入れた医薬品などを医療機関に直接販売・納品する。MRと比べて担当エリアが狭く、ルート営業がメイン。医薬品の販売価格の決定、交渉なども行う。

MSの主な役割は、製薬企業から仕入れた医薬品や医療材料、医療機器などの多岐に渡る商品を、 医療機関や調剤薬局に安定的に供給することです。

単に医薬品を販売するだけでなく、 薬の効能・効果や医療制度、季節性の疾患(インフルエンザ、花粉症等)の流行状況などの 「情報提供」活動も行います。

MSにはメーカー毎の製品特徴を比較・提案できるだけの幅広い知識が必要になります。

情報提供という点では一見MRの仕事と似ていますが、 様々なメーカーの商品の中からより最適な医薬品を患者さまのために提案できる仕事と言えるでしょう。

またMSは医療機関・調剤薬局と価格交渉を行うため、利益を確保するための意識が大変重要になります。

■MSとMRは協力し合うパートナー

MSは日頃の営業活動で得た医薬品に関する情報や医師・薬剤師からの要望をMRにフィードバックし、必要に応じて同行訪問を行います。

一方MRは新製品の情報提供をはじめ、MSの営業活動に必要な製品知識を提供します。

医療機関に対して共同で勉強会を開催するなど、MSとMRは医薬品を適正に使用して いただくために日頃から情報交換を行いながら、お互いの役割を果たすために協力し合う大切なパートナーです。

医療機器・医療用具の営業職

医療業界の営業職は、メーカーや卸商社、輸入商社などに所属して、自社が扱う医療機器や消耗品などの医療資材を売り込むことが主な仕事です。

商材は会社によってさまざまで、CTやMRIなどの大型機器を手掛けることもあれば、注射器や消毒用のガーゼなど、頻繁に使う消耗品を扱うこともあります。

また、手術で使用する特殊な医療機器については、その使い方のアドバイスなどのため、手術現場に立ち会うこともあります。

他業界の営業職と比較すると、買い手側に近い場所で仕事をする機会が多いといえます。

医療業界の営業職が扱う商材にはさまざまな種類がある

医療業界の営業職が扱う商材は多岐にわたり、それによって営業スタイルも大きく変わります。

メーカーであれば自社製品のみを扱いますが、卸商社や輸入商社では複数の会社の製品を扱うことになりますから、それぞれの特徴を正確に把握しておくことも重要です。

<商材例>
・大型の検査、診断機器
CTやMRIなどの大型機器は単価が非常に高く、場合によっては数億円以上というものもあります。そのため、飛び込み営業で買ってもらえるというものではありません。医師はもちろん、病院の経営トップへのアプローチは不可欠ですし、予算案や経営戦略にも関わるなど、コンサルタントに近い業務内容になります。

・手術用医療機器
カテーテルやステント、ペースメーカーなど、手術で使う機器などを扱う営業職は、機材の使い方をレクチャーしたり、万一の際のサポートのために手術現場に立ち会ったりすることもあります。感染症が多くなる秋から冬にかけては手術件数も増え、立会いが多くなる時期といわれています。

一般の営業職以上に、より顧客に近い場所で仕事をすることが多くなるため、日頃から定期的に顧客を訪問し、良好な関係を築いておくことが大切です。

・検査機器や試薬
血液検査や尿検査などに使う小型の機器や試薬などの営業をする場合、病院だけでなく大学や検査機関などに納品することが多く、手術時の立会いなどもありません。一度契約に至ると継続的に使用することが多いため、比較的落ち着いて仕事ができるといえるでしょう。

MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)

MSLとはKOL(キーオピニオンリーダー)に対して、医学・科学的なエビデンスや高度な専門知識をもとに、医薬品の情報提供を支援する職種です。

KOLは医師など医療分野の専門家で、製薬企業の販売促進に大きな影響力を持ちます。

「医師に対して医薬品の情報を提供する」というと、「MRと何が違うのか?」と思われるかもしれません。

MRは営業やマーケティング部門に組織されていますが、MSLは安全性情報室に類する組織に所属している点で、役割が大きく異なります。

MSLの主な業務は、KOLのマネジメントや医師の研究対応、論文投稿や臨床研究支援など多様にありますが、特にKOLのマネジメントと臨床研究支援が重要な業務となっています。

KOLに対して最新の医学・薬学情報をタイムリーに提供するだけではなく、新しい治療方法や医薬品の適正使用についてKOLと議論するなど、KOLの医療活動の支援を行います。

また、新薬の上市段階では、多くのKOLと良好な関係を構築し、学術的観点から有効性を説くことで、スムーズに市場に新薬を導入できるように活動します。

■MSLの需要について

最近では外資系製薬企業だけでなく、内資製薬企業もMSLの募集に積極的になってきています。また製薬企業のみならず、CSO業界でもコントラクトで製薬企業に出向するMSLの募集が増加傾向にあります。

■MSLになるためには

新卒で入る場合、理系院卒もしくは博士号、英語力(TOEIC750点以上)、コミュニケーション力(相手の話を正確に理解して、正確に自身の意見を伝達する力)が必要となってきます。

英語力については、今後のグローバル協業の拡大に伴い、TOEICスコアでははかれない英語運用力が重要となってくるでしょう。

Vol.2 臨床開発系に続く・・・